ターミナル看護学

Terminal Care

 

高 崎 絹 子

 

1 科目の概要

本科目はターミナル期にある患者・家族の理解と看護支援および看護婦の役割・機能を理解する。ターミナル患者をトータルペイン(身体的,精神的,社会的,霊的苦痛)の側面から捉え,生命の質を基本にターミナル患者・家族の心理過程と死の受容,よりよい生への支援方法を学ぶ。現代では人間の死が家庭から病院での死に変化しており,病院,在宅におけるターミナル看護学の位置づけと系統的アプローチが社会的要請として高まり,専門的教育が重要視されてきた。特にチーム医療における緩和ケアと看護の役割・機能が求められている。

 

2 教育方針・教育目標

1)ターミナルケアの概念,歴史的背景と現状の社会的要請を理解する。

2)ターミナルステージと対応した患者・家族のケアを理解する。

3)死について,意味,日常性,死の今日的問題を捉え理解する。

4)ターミナル患者のトータルペインと緩和ケアの意義と基本ケアを理解する。

5)緩和ケアにおける生の支援とチーム医療アプローチを理解する。

6)在宅ターミナルケアにおける患者・家族の役割,機能と社会的支援,社会的資源の活用を学ぶ。

 

3 教育内容

回数

日 時

項  目

内  容

担当者

1

4/11(金)

2

ターミナルケアとは

ターミナルケアの歴史的背景と日本の現状と社会的要請

ターミナルケアの定義,看護の役割・機能

ターミナルステージと患者・家族のケア内容

渡辺孝子

2

3

5/9(金)

1,2

人間の死と準備教育

ターミナル患者の生命の質と医療

死の定義,死亡の動向,病院死の問題点

安楽死と尊厳死,末期患者の心理過程

ライフサイクルでの死と準備教育

トータルペインと生命の質対応

症状,痛みのコントロール,身体的活動の確保,死の受容と生への支援(生きる意味,希望,生活の安楽や充実,スピリチュアル霊的ケア)

4

5/23(金)

2

家族ケア

在宅ターミナルケア

死の受容の支援,家族喪失前・後の悲嘆の関わり

患者・家族のセルフケア機能と役割,家族のケア教育,環境整備,在宅ケアの実際

高崎絹子

5

6

5/30(金)

1,2

インフォームド・コンセントと支援

緩和ケアと治療

告知(病名,予後)の必要性,告知内容,継続的支援アプローチ,コミュニケーション技法

延命治療から緩和ケア

諸症状の緩和医療

岡崎伸生

7

8

6/6(金)

1,2

ターミナルケアの基本

チームアプローチ

苦痛,痛みのアセスメントと緩和法(症状,痛みのコントロールの実際),日常生活のケア

チーム医療の必要性,緩和ケア,ホスピスケアの実際,チームにおける看護婦の役割・機能(看護婦,医師,ケースワーカ,宗教家,薬剤師,栄養士,PT,OTなど)

蛭田みどり

〔単位〕必修1単位

〔場所〕第1講義室(3号館9階)ほか

 

4 教科書・参考書

・系統的看護学講座 別巻全15 ターミナルケア 医学書院

・編集主幹 馬場一雄,他 3看護MOOK ターミナルケア 金原出版

・鈴木正子 生と死に向き合う看護−自己理解からの出発 医学書院

・柏木哲夫,他 緩和医療学 三輪書店

・恒藤暁 最新緩和医療学 最新医学社

・日野原重明,他 生と死のケア 医学書院

・松岡寿夫 デス・エディケーション 患者の生命の尊厳と医療者の働き 医学書院

 

5 他科目との関連

ターミナル看護学は,対象である小児期から老年期まで,また疾病の種別,施設や在宅ケアを問わず,共通する知識や理論,技術について学ぶことを目指している。関連科目におけるターミナル看護の内容と統合させて学習する必要がある。

 

6 受講上の注意

ターミナル看護学は,ターミナルケアの体験学習が重要であり実習時機会があれば積極的に学んでおくと,学習の理解に有効である。

 

7 成績評価方法

授業に関連した課題レポート,および出席状況により評価する。